アフロ記者・稲垣えみ子さんが朝日新聞から受け取った退職金は5600万円だった?

アフロヘアの元新聞記者としてご活躍の稲垣えみ子さん。彼女が書いた「魂の退社」という本を読んでおりますと、こんな一節がありました。朝日新聞社を退社するにあたって、会社から諸手続の説明を受けたときの話です。

いや~、これは想定外!! なんと、なんと退職金の7分の1をお国及び地方が持っていくことが判明!

魂の退社
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皆さん、これを読んでどう思います? 「退職金からそんなに税金が取られるんだ! 退職金から税金を持っていくなんてひどい話だ!」と思いました?

でも、税理士の私がこれを読んで思ったのが、「退職金からそんなに税金が引かれるって、いったいどれほど多額の退職金を受け取ったんだろう?」ということ。

退職金にかかる税金はとても優遇されています。老後の生活資金であることから、他の種類の所得に比べて、負担すべき税金や安くなるように計算されます。

退職金にかかる税金は、所得税と住民税の2つです。所得税の計算方法を詳しく知りたい方は、以下の国税庁のサイトをご覧ください。住民税については、退職所得の金額の10%が税額になります。

No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

たとえば、勤続30年で受け取る退職金の場合、1500万円までは税金がかかりません。2000万円の退職金であれば、かかる税金(所得税+住民税)は約40万円くらいなので、退職金の50分の1が税金ということになります。3000万円なら約184万円と金額は大きくなりますが、それでも割合にすれば16分の1です。同じ3000万円であっても給与所得であれば、約1122万円もの税金がかかります(所得控除は考えない)。

このように退職金の税金は優遇されているため、よほど高額な退職金を受け取らない限りは7分の1もの税金を支払うことはありません。

退職金は税金が安いだけでなく、社会保険料もかかりません。この仕組みを利用し、給料は低くおさえておき、その分を退職金で支払うことで、税金と社会保険の負担をのがれるというスキームがあります。これを防ぐため、勤続5年以下の場合、一定以上の高額な退職金に対しての課税を強化する改正が行われました(2022年以降に適用)。

ということで、稲垣さんの退職金の金額を計算してみました。税金の金額は、退職金の金額と勤続年数の2つで決まります。著書のほかの箇所で勤続28年とあったので、計算するだけで退職金の金額は分かります。その結果はなんと5668万円でした!

退職金の金額 5668万円

納税額 809万円

  • 所得税 582万円
  • 復興特別所得税 12万円
  • 住民税 215万円

ただし、勤続28年が計算の前提なので、中途で契約の変更などがあり、計算上の勤続年数が短い場合は金額が違ってきます。

もしかしたら、稲垣えみ子さんの記憶違いだったり、ちょっと話を大きくしてみようと適当な数字を使っただけかもしれないので、実際にこの金額をもらっていたのかは分かりません。でも、そうだとしたら、担当の編集者はきちんと仕事をしていたのかという話になります。しかも、東洋経済新報社という経済専門の出版社から出された本なので、数字にまつわる事実確認はしっかりなされていると信じたいところです。

それはさておき、東洋経済オンラインに連載されていた「買わない生活」はとても面白かったです。特にフリーランスの方、お金や人生について考え直す良いきっかけになると思うので、ぜひご覧になってください。

買わない生活の記事一覧 | 東洋経済オンライン
疫病、災害、老後・・・・・・。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。足りないのはお金? 家? トイレットペーパー? レトルト食品? いや、実は足りないものなど何もないのかもしれない。そうと知ればあとは思い切り生きるだけ。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記。

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