インボイス登録したフリーランスが免税事業者に戻る手続き

インボイス登録をすると消費税の課税事業者となり、消費税の申告・納税の義務が生じます。たとえ、売上が10万円しかなかったとしても、インボイス登録している間は消費税の申告・納税はしなければなりません。

売上が少ないため免税事業者に戻りたい場合、インボイス登録を取り消す手続きが必要になります。その手続きについて紹介します。

インボイスの登録取消は期限に注意

  • 税務署に「適格請求書発行事業者の登録の取消を求める旨の届出書」を提出する
  • 期限は年度が始まる日から15日前(個人事業主なら12月17日)
  • 登録のタイミングによってはインボイス登録を取り消しても免税にならないことがある
  • 課税事業者選択届出書を出しているなら「課税事業者選択不適用届出書」も必要に

税務署に取消の届出書を出すのですが、期限に注意が必要です。取消の事実を国税庁ウェブサイトで公表する制度になっているため、個人事業主であれば12月17日までに届出書を出さなければなりません。そうすると、翌年1月1日からインボイス登録は無効になります。

期限に1日でも遅れたら翌々年の取消になります。12月17日が土・日曜日であっても、期限が翌月曜日にずれることはありません。

インボイスは好きなタイミングで登録ができますが、取消は年度の途中ではできません。早めに届出書を出しても、取消になるのは翌年度からです。

インボイス登録のタイミングでは最大3年間免税に戻れない

インボイス登録の取消だけで免税に戻るとは限りません。2年前の売上が1000万円超であれば消費税の申告・納税の義務があります。課税事業者の取消手続きは、ただインボイスを発行できなくなったというだけのことです。

2年前の売上が1000万円以下なら、インボイスの登録取消で免税事業者に戻ります。しかし、インボイス登録のタイミングによっては、すぐ免税事業者に戻れないことがあります。

  • 制度開始当初(2023年10月1日)から登録を受けていたら、上記の原則どおり。12月17日までに取消手続きをすれば、翌年からは免税に戻れる
  • 制度開始後に登録を受けた場合、登録から最低2年間は消費税の申告・納税の義務がある。取消手続きをしてもその間は免税に戻れない

免税事業者が自ら希望して課税事業者になった場合、課税事業者となった日から2年間は免税に戻れないという規定があります。設備投資をしたときなど売上より支出が多い年は消費税の還付を受けられるため、自分の都合で短期間に免税・課税を切り替えられないようになっています。自ら希望して課税事業者になるための手続きが「課税事業者選択届出書」であり、この届出書を出した人が免税に戻るには「課税事業者選択不適用届出書」を提出しなければなりません。

同様にインボイス制度においても、免税事業者が登録によって課税事業者になってから最低2年間は免税に戻れません。正確には、登録日から2年を経過する日が属する年度末までは免税に戻れません。たとえば、2024年2月10日が登録日だとすれば、ほぼ3年間(2024/2/10~12/31、2025/1/1~12/31、2026/1/1~12/31)は申告・納税の義務があるということです。この期間にインボイスの取消手続きをしても、インボイスが発行できなくなるだけで、申告・納税の義務が消えることはありません。

ところが、この2年間は免税に戻れないという規定にひとつ例外があます。2023年10月1日の時点でインボイス登録されていたら、2年しばりは適用されません。12月17日までに取消手続きをすれば、翌年から免税に戻れます。

入るのは簡単だが出るのは難しい

2023年10月以降であっても、必要が生じたときに好きなタイミングでインボイス登録することができます。しかし、インボイス登録を取り消すのはちょっと面倒です。取消手続きの期限がとても中途半端ですし、2年間は免税に戻れないという制限もあります。

インボイス登録するかどうか迷っているなら、どうしても登録する必要が生じるまでは様子見を決め込むのもひとつの手です。登録申請書を出して15日後には登録事業者になれます。しかし、いったん登録申請書を出すと最低2年間は制度から抜けることができない点には注意してください。

もし、「かなり取引先のプレッシャーが強い。いずれは登録が必要になるかも」と思うなら、2023年9月30日までに登録申請書を出し、2年しばり受けないようにした方が良いかもしれません。

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