フリーランスが税金を無申告のまま放置するとどうなる?

税務調査

積極的に無申告をつらぬく確信犯は少ないと思いますが、「面倒だから」「忙しいから」「やり方がわからない」と確定申告をしないまま何年もほったらかしにしている方は多いようです。だんだん売上が増えてきて、このままではヤバいと相談にみえる方もいらっしゃいます。

申告しないまま放置しておくと、どんな結末が待っているのでしょうか。これまでの経験から無申告者がたどる道を見ていきます。

まずは「お尋ね」が送られてくる

税務署から「××年の所得について申告がありませんが、所得があった場合は申告してください」といった内容の書類が郵送されてきます。「お尋ね」と呼ばれる書類です。

お尋ねが送られてくるということは、税務署の方ではあなたに収入があったことを把握しています。なるべく早めに申告することをおすすめします。

申告については過去5年分の申告を行い、そこで計算した税額を納付します。申告が遅れた分に対して無申告加算税や延滞税がかかりますが、その通知は税務署から後で送られてきます。申告が遅れるほど延滞税の金額も大きくなるので注意してください。

国税通則法によって、税金をかけることができるのは、その申告期限から5年間と決まっています(脱税の場合は7年)。ですから、申告期限から5年以上たった分は、無申告であっても申告する必要もなければ、納税する必要もありません。時効のようなものです。正直に申告して納税したとしても、申告は無効であり、納めた税金は還付されます。だからといって「5年間逃げ切れればセーフ」と考えるのは危険です。

税務署への「呼び出し」がかかる

お尋ねを無視し続けると、次は日時を指定して税務署に来るようにうながされます。「帳簿や領収書、請求書、預金通帳などを持って税務署に来てください」といった内容です。

こんな文書が送られてきたら、まずは担当者に電話をすることをおすすめします(文書に担当者の連絡先は記載されています)。いきなり税務署に行くと向こうのペースで話が進んでしまう恐れがあるので、「自主的に申告するので少し待ってほしい」と伝えた方がいいです。

交渉力に絶対的な自信があるなら、売上や経費などの資料を持って税務署に乗り込んでいき、そこで話をつけることができるかもしれません。それでも事前に税理士に相談して、事前準備をしたり、交渉のポイントを教えてもらうべきです。

呼び出しに応じて出かけていったときは、半日くらいかけて事情聴取され、持参した資料について質問を受けることになります。そして、たいていは「資料を預からせて欲しい」と言われるので、それに応じて資料を置いていくと、税務署の方で売上や経費を集計して(資料の状況によっては推計して)、税額を出してくれます。後日に結果を知らせる連絡があって、その数字をもとに申告して欲しいとお願いされることになります。

税務署はあなたに有利な方法で計算してくれることはないので、自分で計算するよりも税額は高くなりがちです。特に資料が十分にそろっていないときは、売上や経費を推計することになるので、厳しい数字が出てくるものと覚悟すべき。ですから、税務署にペースをにぎられないように、その前に自分で申告書を作って出した方がいいです。

そして「税務調査」を受けることに

ここから先は、よほど税務署嫌いの人しか当てはまらないと思うので、参考程度に聞いて下さい。

呼び出しにも応じなければ、税務調査を受ける可能性が出てきます。無申告のままこの段階に進んだ事例を直接知らないので、具体的な手続きがどう進むかは分かりませんが、呼び出しとは異なる形式で正式な通知があるはずです。

2011年(平成23年)の税制改正で、税務調査の実施前には「事前通知」を行うことが定められました。そこでは調査の日時や場所、内容など11項目について通知するようになっています。

お尋ねや呼び出しは法律上の根拠がない行政指導ですが、税務調査は法律に基づいて行われるもので強制力があります。正当な理由なしに断ることはできません(調査の日時を調整することはできる)。

調査の場では、請求書や領収書、預金通帳などの資料を調査官に見せることになります。個人であれば調査は1日で終わるでしょう。たいていは調査官が資料を税務署に持ち帰って、そこで売上や経費を計算して、税額をはじき出します。呼び出しの場合とこのあたりの流れは同じです。

お尋ねや呼び出しなど行政指導の段階で申告をするなら無申告加算税は5%ですみますが、調査の事前通知を受けた後は10%(50万円超の部分は15%)、調査が開始された後は15%(50万円超の部分は20%)に上がります。この点からも、無申告のまま放置しないで早めに申告することをおすすめします。

税務署の言い分に納得できないときは

税務署の出した数字に納得できないときはどうするか? 調査の後であっても、自分で計算した数字で申告書を出すこともできます。その数字が調査の結果とかけはなれていると税務署が判断すれば、調査ではじき出した数字をもとに税額を変更する「更正処分」を行います。

一方、あくまで自主的な申告を拒否し続けるのであれば、やはり税務署が調査の結果をもとに計算を行い、税額を通知する「決定処分」を行います。更正処分にしろ、決定処分にしろ、自分で申告するときよりも厳しい税額が出てくるものと思われます。

更正処分や決定処分に納得できないときは、不服申立や裁判で税務署と戦うこともできます。それには大変な労力がかかるので、そこまでこじれる前にどこかで解決したいところです。

ちなみに、通知された税金を払わないまま放置すると、銀行口座などが差し押さえられ、強制的に税金が徴収されます。税務署は裁判所を通さずに差し押さえを行う権限が与えられているのです。しかも、滞納した税金は、自己破産をしたときでも消えてなくなることはありません。税金の取り立てはとても厳しいのです。

過去にさかのぼって申告するときの注意点

無申告を続けていた場合、過去5年分の申告を行うことになります。何年も前の資料が残っていないかもしれませんが、なんとか売上や経費の金額を計算して、申告書を作ってください。正確な金額が分からないときは、推計の数字でもかまいません。後で質問されたときに、推測の根拠は答えられるようにしておきましょう。

税務署に申告書の作り方を聞くこともできますが、納税者に有利になるようなアドバイスを期待することはできません。相談料はかからないかもしれないけど、税額が高く計算されるかもしれません。

一方、税理士に相談していただければ、納税者の立場で申告書を作ります。しかし、あくまで法律の範囲内で計算することになるところはご理解ください。税理士に頼んだからといって、払うべき税金を払わなくてすむわけではありません。

どちらにせよ、無申告のまま放置していると、時間がたつほど傷口が広がっていきます。どの段階でもかまわないので税理士にご相談ください。

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