無申告を続けていた人が過去の税金をまとめて払うといくらかかるのか?

税務調査

「面倒だから」「忙しいから」「やり方がわからない」と確定申告をしないまま何年もほったらかしにしている方も多いはず。税務署から無申告の指摘を受けると、5年前までさかのぼって申告するようにうながされます。そうなると、いくらの税金を支払うことになるのでしょうか?

なぜ5年までさかのぼって申告するかは、以下の記事をご覧下さい。

加算税や延滞税も加われば100万円を超えることも

課税所得が毎年200万円あって、それを5年分まとめて申告したとします。イメージとしては売上400万円、経費が150万円、一人暮らしで扶養家族がいないフリーランスです。けっして売上が多くて余裕がある人ではないですよね。

以下の試算は、大まかなイメージをつかむためのものです。延滞税・延滞金については計算が複雑なのでかなり簡略化していますし(すべて年8.9%で計算)、住民税の均等割や復興特別所得税など細かいところも省いています。でも、大きく外れた数字ではありません。

本来払うべきだった税金

所得税
 1年分:200万円×10%-97,500円=102,500円
 5年分:102,500円×5=512,500円

住民税
 1年分:200万円×10%=200,000円
 5年分:200,000万円×5=1,000,000円

追加で支払うことになる税金

無申告加算税(所得税)
 1年分:102,500円×5%=5,100円(100円未満切り捨て)
 5年分:5,100円×5=25,500円

延滞税(所得税)
 5年前:100,000×8.9%×5=44,500円
 4年前:100,000×8.9%×4=35,600円
 3年前:100,000×8.9%×3=26,700円
 2年前:100,000×8.9%×2=17,800円
 1年前:100,000×8.9%=8,900円
 5年分:133,500円

延滞金(住民税)
 5年前:200,000×8.9%×5=89,000円
 4年前:200,000×8.9%×4=71,200円
 3年前:200,000×8.9%×3=53,400円
 2年前:200,000×8.9%×2=35,600円
 1年前:200,000×8.9%=17,800円
 5年分:267,000円

すべての合計

1,948,500円

毎年、こつこつと支払っていれば、所得税と住民税を合わせても約30万円。それが5年間をまとめて支払うことになれば150万円を超えます。

さらに申告が遅れたことによるペナルティーがあります。「無申告加算税」とは期限までに申告しなかったことに対する罰金のようなもの。上の試算では5%ですが、これは自主的に申告したときの数字です。もし税務調査を受けた後に申告すれば、無申告加算税は15~20%になります。「延滞税」「延滞金」は支払いが遅れた分の利息です。これらを合わせて約42万円。本来は払う必要がなかったお金です。

すべて合わせるとほぼ200万円。売上が400万円くらいのフリーランスが一度に支払える金額ではありませんよね。

一気に払えなければ、分割して納付することになります。その場合は延滞税・延滞金がさらに積み上がっていきます。利率は毎年見直され、2020年が8.9%という数字です。銀行の定期預金が0.1%みたいな数字ですから、8.9%とはべらぼうに高い利率ですよ。

実際は上記金額をまとめて支払うわけではありません。まずは所得税を支払います。その後、税務署から無申告加算税と延滞税の通知が送られてきて、自治体から住民税と延滞金の通知が送られてきます。

消費税や事業税、国民健康保険がかかる人も

所得税と住民税だけじゃありません。売上が大きい人なら消費税がかかるし、業種によっては事業税がかかることがあります。これらについても同様にさかのぼることになるし、加算税や延滞税、延滞金がかかります。

また、国民健康保険への加入義務があったときは、さかのぼって何年分か請求がくることがあります。国民健康保険は自治体ごとに対応が異なるようです(住民税も自治体によっては何年さかのぼるかが違ってきます)。

期限内申告の特典も使えない

しかも期限内に申告しておけば青色申告の特典も使えたはず。青色申告特別控除65万円の分だけ課税所得が減るため、所得税、住民税、国民健康保険のすべての金額が少なくなります。

課税所得が200万円から135万円に減れば、所得税と住民税だけで10万円(1年分)、50万円(5年分)も安くすんでいたはずなのです。

5年分の加算税や延滞税が約42万円。青色申告が使えないことで増えた負担が50万円。期限通りに申告しなかったことで、合わせて約92万円も余分に支払うことになるわけです。

これは少なく見積もった金額かもしれません。なぜなら5年前の売上や経費の資料がきちんと残っていない場合、正確な所得金額を計算できません。すると税務署は推計によってこれくらいの所得があるはずだと言ってきます。毎年きちんと申告したときより、所得が多く見積もられて、その分だけ税額が増える恐れがあるのです

ですから、どんなに忙しくても期限通りに申告・納税することが長期的に見れば税金の負担を減らすことになります。もし無申告のまま放置していて、税務署から「お尋ね」や「呼び出し」が来たのであれば、古い資料をかきあつめて申告をすませることをおすすめします。

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