なぜ税理士事務所は個人の確定申告をやりたがらないのか?

税理士

税理士事務所のウェブサイトを見ると、会社向けのサービス案内ばかりで、個人向けの情報があまりのっていないところが多いです。実は、個人の確定申告をやりたくない税理士事務所がけっこう多いのです。私の事務所のようにフリーランス専門とうたっているところは少数派です。

3月だけめちゃくちゃ忙しくなるから

税理士事務所が個人の確定申告をやりたがらない最大の理由は、物理的に個人の仕事をたくさん受けられないからです。会社であれば「3月決算」「9月決算」というように、会社によって決算月が異なるため申告期限がばらけます。それが、個人だと一律3月15日が申告期限となるため、受けられる数が自然と制限されるのです。

税理士事務所は年間の仕事量を平均化するため、会社に決算月をずらすように頼むこともあるようです。理屈はいろいろ考えられます。「あなたの会社は×月が繁忙期なので、そこからずらした方がゆっくり決算対策ができる」「あなたの会社は×月の売上が大きいので、そこを決算月にすれば納税資金を困らない」とか。でも、ホンネは「うちの事務所は×月のお客さんが多いので、別の月にずらして欲しい」だったりすることも。

会社に比べると個人の単価が安い

フリーランスや個人事業主の場合、売上が数百万円の人がほとんど。すると、税理士事務所に払える金額にも上限があります。しかも、たいていは確定申告時の年1回だけ。

一方、会社のお客さんだと、売上が数千万円は当たり前。億を超えることもめずらしくありません。それだけ作業量も増えるし、決算や申告には知識やテクニックが求められますが、いただける報酬もケタが違ってきます。会社からいただく報酬についても、年1回の決算料・申告料だけではなく、月×万円の「顧問料」をいただく契約が一般的です。

税理士事務所の経営という点から考えれば、個人客が中心だと月ごとの売上のばらつきが大きくなるため、どうしても安定した顧問料収入を得られる会社をメインにしたくなります。

個人の申告を効率化するノウハウがない

会社のお客さんであれば、きちんと経理のシステムができているはず。税理士事務所としても毎月顧問料をもらっているので、そのシステムがきちんと動くように管理しますから、決算・申告の時期がきてもあわてることはありません。

一方、個人のお客さんだと、年一回のお付き合いになることがほとんど。すると、売上も仕入も経費もまったく整理がされていなくて、一年分を一気に集計しなければならないなんてことになります。さらに業種もいろいろなので、お客さんごとに処理のやり方が違ってきます。特に新規のお客さんが申告期限の間近にやってきたときは大変。

3月直前の短期間に安い単価で細かくて面倒な作業をこなさなければならないため、個人の確定申告はあまりやりたくない。会社のお客さんで事務所はやっていけるから、あえて個人客を取りにいかなくてもいい。そういう考え方になるわけです。

みらいプランニングがフリーランス中心で運営できる理由

私の事務所が個人中心で運営できるのは、申告書作りだけに限定していないためです。申告書を作るだけの仕事であれば1~3月だけが超忙しくなって、それ以外の時期は何もやることがなくなってしまう。サービス紹介のページでも紹介しているように、新しくお付き合いをすることになったときは、最初に経理のシステム作りから始めます。

あらかじめ売上や経費を集計する仕組みをきっちり作っておけば、確定申告の時期になってもあわてずにすみます。私の方でもお客さんの業務内容や売上・経費の傾向などを把握しているので、年末が近づいてきたら納税額の見通しをお伝えすることもできるし、必要に応じて節税対策をとることもできます。

私自身も税理士になる前からフリーランスのライターとして20年近く活動してきました。税理士の資格を取得したのも、不安定なフリーランスをサポートしたいと思ったため。ですから、形式が整った申告書さえ作ればいいというスタンスではなく、皆さんの悩みや不安も解消できるようにサポートできればと思っています。

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