ワーケーションの費用は経費になるのか? ぶっちゃけて言うなら「仕事にかこつけて旅行にいったとき、その旅費は経費にすることができるのか?」を考えたいと思います。
まず2つの大前提があります。
- 経費にできるのは、事業に直接関係するものであること
- 判断の基準となるのは、社会通念上妥当なものであるかどうか
つまり、「常識的に考えて、それって事業に直接関係する出費だよね」と言えるものは経費にできます。反対に、「常識的に考えて、それは事業に直接関係しないだろう」と言えるものは経費になりません。
じゃあ、「常識って何だ?」と思われるでしょう。明確にこうだとは言えませんが、10人に聞いて、8人が「そうだよね」と同意してくれるなら大丈夫だと思います。半々で割れるようだとグレーゾーンで、10人中2・3人しか同意してくれないならやめておいた方がいいと思います。
この基準でワーケーションを考えていきましょう。
(事例1)
猛暑日が続いて仕事に集中できないという理由で、涼しい北海道に1カ月滞在して仕事をすることにした。その際の往復交通費とウィークリーマンション代を経費にした。
これはどう考えても全額経費にするのは無理です。そんな理屈が通ったら、どこに行った旅行でも全額経費にできちゃいます。
しかし、涼しい場所でなければ仕事ができないという明確な理由があれば話は違ってきます。医者から「今の場所で仕事をするのは危険だ」みたいな話があり、必要があれば医者の診断書もとれるみたいな場合です。また、仕事場にクーラーを設置することができないとか、故障したけれど修理がすぐにできず緊急避難として涼しい場所に移動したみたいなケースも考えられます。
それでも、「なんで北海道? 緊急避難なら地元のホテルでも十分じゃない?」という話が出てきます。おそらく、「ホテル代やウィークリーマンション代は経費にしてもいいけど、往復交通費を経費にするのはダメだろう」と考える人が多いんじゃないでしょうか。
ということで、北海道でないと仕事ができないという明確な理由がなければ、経費とすることはできない。そして、明確な理由がある場合でも、全額を経費にできるとは限らない。こんなかんじになると思います。
(事例2)
沖縄に住むお客さんと現地で打ち合わせを行う必要があった。打ち合わせは半日で終わったが、せっかく沖縄まで来たのだからと一週間遊んで帰ることにした。仕事とプライベートと半々ということで、往復交通費とホテル代の50%を経費として計上した。
事例1と異なるのは、沖縄へ行く明確な理由があることです。なので、往復交通費は全額が経費にできます。
問題になるのは、打ち合わせの後のホテル代です。沖縄だと日帰りは大変でしょうし、一泊分のホテル代は経費にしてもいいんじゃないでしょうか。そして、二泊目以降はプライベートの宿泊として扱い、経費には入れません。
一泊目についても、超高級リゾートホテルに泊ったとなると、全額経費にするのは難しいと思います。一般的な宿泊費だけを見積もって経費にするのが安全でしょう。
ということで、往復交通費の全額と一泊分のホテル代(一般的な宿泊費を限度とする)を経費にできると思います。
(事例3)
今までは東京の自宅(賃貸住宅)で仕事をしてきたが、打ち合わせはほとんどテレビ会議ですむようになったため、長野にもセカンドハウスを借りて二拠点生活を始めることにした。東京と長野の両方の家賃について、事業利用の割合を見積もって経費とした。また、東京と長野の往復交通費も経費に含めた。
二拠点生活といっても形態がいろいろなので、実態に合わせて判断することになります。最初に示した原則の通り、常識的に考えて事業に直接関係する部分のみ経費として取り扱えます。
長野のセカンドハウスでも仕事をするのであれば、事業利用割合に応じて家賃も経費にできるでしょう。ひとつ注意する必要があるのは、長野に滞在する分だけ東京の自宅家賃の事業利用割合は少なくなるはずです。
ただし、セカンドハウスに滞在するのが週末に限られるとか、事業として利用している実態がないなら、経費にするのは難しそうです。「自分が好きで借りてる別荘でしょ? 仕事と関係あるの?」という話です。
往復交通費も微妙なところです。長野に家族で移り住んで、生活の本拠が長野にあるなら、東京での打ち合わせのために移動する交通費は文句なしに経費となります。でも、生活の本拠が東京にあって、長野の仕事場はリフレッシュを兼ねてセカンドハウスとして利用するなら、交通費の全額が経費になるとは考えにくいです。
なので、地方にも拠点を持つならそちらを生活の本拠にして、東京は仕事のための拠点に過ぎず、東京には必要に迫られて出てくるという体裁をとった方が計上できる経費は多くなると思います。
以上、ワーケーションにかかわる経費についての考え方を紹介してきました。実際のところ、実態に応じて判断は違ってきますので、この記事を参考にしてどこまで経費にできるかはご自身で考えてください。
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